整形外科とは


整形外科とは定義上、「骨、関節、靭帯、末梢神経、筋肉などの運動器に関わる疾患や外傷を治療するところ」となっています。これは西洋医学の発展と密接な関係があります。

西洋医学ではもともと、薬で治療するのが中心(身体の内側から治すのを薬で手伝う)の内科と、手術によって病変部を取り去る(外からの力で病変部をなくす)という外科に大別されていました。解剖学や病理学など、基礎医学と言われるものが発達するとともに、臓器別に治療方針を立てるようになり、それぞれが専門分化してきました。

このうち、手足の先天奇形やポリオによる麻痺足の治療などの外科的治療が行われるようになりました。そのうち、四肢と脊椎を中心として、これらにまつわる骨、関節、靭帯、神経、筋肉などを全般的に扱うようになりました。

また、こういった疾患とは別に外傷学と言う分野もあります。その名のごとく、けがに対する治療が中心になります。外傷学のうち、整形外科では四肢と脊椎に関する領域も扱っています。いわゆる骨折、捻挫などです。どちらかというとこちらの方が一般的にはなじみが多いでしょう。

現在の整形外科では、変性疾患と呼ばれる変形性関節症、椎間板ヘルニア、骨腫瘍、腱断裂などの治療も手がけています。これらに対する外科的治療だけでなく、内科的治療(薬の投与やリハビリなど)も行うようになりました。従って、厳密には「外科」と言う名称はふさわしくないのかも知れません。

整形外科は、英語でOrthopaedicsと呼ばれます。orthoとは矯正という意味です。paediとは子供の事であり、成立初期は前述のように子供の手足の変形が治療対象の多くを占めていたことに由来します。日本に伝えられたとき、日本語で整形外科と訳されました。

ここまで書くと、大体お解りかと思いますが、四肢と脊椎に関わる臓器を診るところです。内臓や顔面、頭部は専門外となります。

あと、よく誤解されているところとして、二重まぶたに、とか、鼻を高くしたい、なんて聞かれる事もあるので、以下にこの辺の違いを記載してみます。

整形外科
上記のごとく、四肢と脊椎を扱う西洋医学の分野です。レントゲンを撮ったり、薬を出したり、場合によっては手術もします。病的に障害された運動器の機能を治療します。
形成外科
傷の跡を目立たなくしたり、顔面骨の欠損を治したり、主に外見上の障害(醜状変形、病的な外見上の問題)を治療するのがメインで、細かい手術を得意分野としています。施設によっては手のけがや病気、切断した指をつないだり、と言う治療を行っているところもあります。この辺はマイクロ手術と言って、顕微鏡を使って手術するものです。整形外科でもこの分野を扱う専門(手の外科)があり、重複しています。
美容整形
形成外科と同じく、主に見た目の改善を目的とした手術を行いますが、二重まぶたにする、鼻を高くする、とか、顔のしわを取ったり、豊胸手術したり、など。主には病的でない外見上の問題が治療対象であり、病気や障害ではない事が多いので、健康保険はきかない事が多いです。
接骨・鍼灸・マッサージ
西洋医学ではありませんので、資格も医師ではなく、柔道整復師、鍼・灸師、マッサージ師などです。これらは国家資格ですが、一般的に医療類似行為(代替医療とも言われます)として取り扱われています。法律上もレントゲン撮影や投薬をする事は出来ませんし、施術対象となるものは、接骨では打撲・骨折・捻挫・脱臼に限られています。鍼灸は神経痛やリウマチやそれら類似疾患、マッサージは腰痛、肩こりなどと言う事になっているようです。
カイロプラクティック・整体・気功・骨盤矯正など
これらも西洋医学ではありません。主に民間療法と呼ばれるものです。カイロプラクティックは100年程前にアメリカで生まれた整体のようなものです。資格は免許や国家資格ではなく、種々の団体で独自に出しているものもあるようです。法的に認定された治療技術ではないようですので、レントゲン撮影や投薬はもとより、疾患の診断・治療をする事は出来ません。

TOPページヘ戻る