×

[PR]この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。

野球肘

野球による肘の障害

投球動作を含むスポーツによる肘痛のことを一括りにして野球肘と言います。小学生から中学生に多いのですが、成人でも見られます。典型的には野球のピッチャーに発生します。以外と知られていませんが、投手の次に多いのがキャッチャーです。また、野球以外でも見られることがあります。初期の痛みは投球時のみで、すぐに症状がなくなるので軽く見られがちですが、初期から正しい対応をしていくことが早期復帰につながります。
野球肘は内側型、外側型、後方型に大別されます。外側型は少年期に多く、後遺障害を残しやすく、早期発見が重要。内側型は成長期では骨の問題が多いのに対し、成人以降では靭帯損傷が関与することが多いようです。後方型も少年期には骨の問題が多いのですが、成人期以降では尺骨神経麻痺を伴うこともあります。

内側型野球肘

内側型野球肘
内上顆部(丸印)骨端核の
分節化
尺側側副靭帯と呼ばれる、肘の内側にある靭帯が繰り返しの投球動作により部分断裂を起こし、靭帯が緩んだ状態(靭帯機能不全)になるもの。肘の内側の出っ張り(内上顆)の少し下側に圧痛がある。有名どころでは元阪神タイガースの村田投手や読売ジャイアンツの桑田投手が手術をしている。
成長期であれば、靭帯が損傷するかわりに内上顆と呼ばれる骨の出っ張りの部分の成長軟骨が障害される。小児期の内側型野球肘の予後は比較的よいが、早期にしっかりと安静を守り、治癒せしめた方が結局は早期復帰につながる。通常は3週間から2ヵ月程度の投球禁止で改善することが多い。手関節のストレッチ(手首を反らす)をしておくことが重要。成人以降の靭帯損傷型では早期にしっかりと治療しておかないと、ポジション変更が必要になることもある。
どちらもある一動作(ある一球の投球直後や捕球時、転倒時など)によって痛みが出ることがあり、この場合、外傷に準じた治療(ギプス固定など)が必要である。

外側型野球肘

離断性骨軟骨炎というのが正式名称。
離断性骨軟骨炎の三次元画像
3次元CTによる画像
小頭部の陥没
小学生高学年に多い。上腕骨小頭という部分の骨が軟骨とともにはがれてしまう。中等度以上の離断性骨軟骨炎では関節面が障害されるため、関節可動域の減少などの後遺障害を残すことが多い。まだ骨が幼弱なうちに過度の負荷がかかってしまうことが主要因とされる。小学生で変化球が禁止されているのはこの障害を減らすことも目的の一つである。

離断性骨軟骨炎の症状は投球時の痛みであるが、初期では、練習終了後は速やかに痛みが消失するために単なる使い痛みと勘違いされることが多い。少し症状が強くなると、関節の腫れがでたり練習後にも痛みが残ったりするが、この時期にはすでに中期以降に進行していることが多い。初期には症状が非常に軽度であるが、この時期の軽微な症状を見逃さないことが重要。肘が完全に伸ばしにくくなる事が多い(肘関節伸展障害、屈曲拘縮)。
ごく初期であれば数ヶ月の投球禁止で治癒することもあるが、この時期には症状も軽度で、本人や周囲の人たちの病識も悪いために十分な安静が守れず、進行してしまうこともある。手術なしで治癒することもあるが、通常は1年以上の治療(投球禁止)期間が必要であり、特に学生選手にとっては現実的でないことと、病院受診時にはすでに進行していることが多いので、手術が必要になることも多い。手術方法は単純な掻爬から、骨切り、骨軟骨移植などが行われている。

離断性骨軟骨炎は進行してしまうと投球動作に関わるスポーツが十分出来なくなるどころか、成人期以降も変形性関節症を発症し、痛みが出たり、動きが悪くなったりすることがある。早期発見・早期治療が重要な典型例。

後方型野球肘

肘頭という部分の成長軟骨が牽引力によって損傷され、疲労骨折を起こしたり、成長線の閉鎖が遅れたりする状態。手術が選択されることもある。成長終了後には肘頭周囲に骨の出っ張りが生じ(骨棘(こつきょく)と言う)、関節の動きが悪くなったり、尺骨神経を押さえて指にしびれを生じたり握力が落ちたりする。元横浜ベイスターズの佐々木投手も尺骨神経障害に対して手術をしている。



このように、少年野球における肘の障害は大きな問題であり、これらに対しては連盟も取り組んでおり、変化球を投げた場合にはストライクとならない、またはプレーを無効とする、と言ったルールや、試合数の限度を1日2試合までとする、など、制限を設けています。また、日本臨床スポーツ医学会からも、以下のような提言がなされています。

・各チームに投手、捕手はそれぞれ2名以上育成しておく事が望ましい
・オフ期間を設け、その時期には野球以外のスポーツを行わせる
・一日に2試合の登板は避ける
学年練習量1日の全力投球数限度1週間の全力投球数限度
(試合を含む)
 小学校 週3日以内
一日練習量は2時間以内
50球200球
 中学校 週1日以上の休養日を設ける70球350球
 高校 週1日以上の休養日を設ける100球500球

スポーツ整形外科 目次へ

TOPページへ