タイトネス(筋肉の柔軟性不良)

筋の伸張不足は故障の原因

「体が硬いとケガしやすい」ということは昔からよく認識されています。筋肉が硬くなると、柔軟性が悪くなります。柔軟性が悪いと、スポーツによる衝撃の緩和能力が落ちます。そうすると、肉離れを起こしやすくなったり、付着部という、筋肉が骨についている部分に過度の負担がかかり、付着部炎というものを起こします。膝蓋腱炎(ジャンパー膝)やアキレス腱炎などがそうです。30歳代をすぎると、腱の強度が弱くなり始めます。この状態で筋肉が硬く、衝撃緩和が出来ないと、急激な筋の伸張に腱が負けて腱断裂を起こします。有名なものはアキレス腱断裂です。

また、成長期であれば付着部が軟骨であるため、軟骨の骨化障害などを起こします。代表はオスグッド病です。子供は身体が柔らかいのが常識ですが、筋疲労が溜まると子供でも柔軟性は落ちます。また、成長期には骨の長さの成長の割に筋肉の長さが追い付かなくなりがちです。こうなると、ストレッチをしているつもりでも、知らず知らずのうちに体が硬くなります。成長期にスポーツ障害が多いことの理由の一つがここにあります。

このように、スポーツ障害と筋肉の柔軟性には密接な関係があります。通常行われているものですが、代表的な筋肉の柔軟性のチェック方法やストレッチ法と注意点などについて書いておきます。

筋肉名 主な障害 解説 ストレッチ法
大腿四頭筋
膝伸展
(太ももの前)
膝蓋骨周辺の障害
分裂膝蓋
オスグッド病
腸骨棘剥離骨折
腰椎前彎増強
など
股関節と膝関節の両方にまたがった二関節筋のため、股関節と膝関節の姿勢に注意する必要あり。
(左)うつ伏せで膝を曲げ、踵をおしりにつける。四頭筋が硬いと骨盤が前傾するため、おしりが浮く。
(右)仰向けで膝を曲げる。出来るだけ股関節を伸ばしておく。
尻上がりテスト 四頭筋ストレッチ
ハムストリング
膝屈曲
(太ももの後ろ)
腰椎後彎増強
腰痛
坐骨結節剥離骨折
駕足炎
膝を伸ばしたまま、足先を触れる、または立ったまま前屈し、床を触る。足が触れなかったり床に届かなければ硬い。
腰を伸ばしたまま、股関節を曲げるつもりで行うと効率よくストレッチできる。
ハムストタイト
下腿三頭筋
足関節底屈
(ふくらはぎ)
アキレス腱炎
アキレス腱断裂
膝を伸ばすと腓腹筋(二関節筋)(左)、膝を曲げるとヒラメ筋(単関節筋)(右)のストレッチとなる ヒラメ筋
内転筋
股関節を閉じる
(太もも内側)
坐骨結節剥離骨折 よく肉離れを起こす部位。 内転筋

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