ペルテス病ペルテス病とは何らかの原因で大腿骨頭骨端の血流障害が起き、骨が死んでしまう(壊死)病気です。成人では大腿骨頭壊死となります。名前の由来は1900年初頭にペルテス(Perthes)というドイツ人が学会で発表したことによって、彼の名前を付けてあるのです。また、同時期にレッグ(Legg)という人とカルベ(Calve)という人も同じ病気を発表していたため、レッグ・カルベ・ペルテス病(Legg-Calve-Perthes disease:LCPD)とも呼ばれています。なぜ血流障害が起こるのかは未だに分かっていません。 好発年齢は小学校低学年ですが、2,3歳から10歳過ぎまで見られます。
症状は股関節痛ですが、実際には子供が「股関節が痛い」と訴える事は余りありません。どちらかというと太ももの部分や膝近辺を痛がります。ほぼ必発の症状として出てくるものに、跛行(はこう)があります。跛行とは足を引きずる事です。少し高いところから飛び降りた、とかいう軽度の誘因がある事がありますが、はっきりしたきっかけがなく、何となくここ2,3ヵ月足を引きずっている、という症状で受診される事もあります。こういうときに診察すると、可動域制限といって、関節の動きが悪くなっている事がほとんどです。レントゲンでは典型的には骨頭核の変形や圧潰が見られます。正面よりも側面像の方が病変を捉えやすいことが多いです。 治療方法は年齢によって異なりますが、基本的には可動域を改善させる事が重要です。可動域が改善されないと、骨頭の変形の原因になる事があります。もう一つの治療の原則はcontainment療法というものです。containmentとは「含む」という意味です。どこに含むのかというと、この疾患は骨頭の病気であるため、受け皿である臼蓋は正常で、球形を保ったままです。そのため、骨頭の血流が回復して再生が始まるまで、臼蓋の丸い部分に包み込んでおいて、再生してきたときに球形になりやすいようにしておくものです。従って、治癒には1年以上かかることが多いです。 どうやって骨頭を包み込んでおくかですが、代表的なものは装具です。装具で骨頭がうまく包まれる位置に持ってきておいて、この状態を維持するのです。小学校以前であれば装具療法の適応となることが多いです。装具は数種類あり、それぞれ、使用に際して得意な施設がありますので、施設によってどの装具を使うかは異なります。もう少し年長になると手術が選択されることもあります。この場合、骨の形を変えてふつうの足の位置で骨頭が包み込まれるようにします。そのため、術後の固定期間を除いて、装具は原則的に使用しません。 骨頭の再生能力が大きいほど、丸い骨頭が再生されやすくなりますので、年長児ほど、この能力が低くなるために変形を残しやすくなります。大人にも別の理由で骨頭壊死が起こりえますが、この場合、再生能力はほとんどないため、つぶれた骨頭が再び球形を取り戻すことはほとんどありません。一般的には9歳以降は変形が残りやすいとされます。 骨頭の変形を残すと、20年程度は痛みなどを起こすことは少ないとされていますが、40歳頃から変形性関節症となり、痛みが出やすくなるとも言われています。 比較的専門性の高い疾患なので、残念ながら、一般整形外科では診断がつかないことが多いです。子供の跛行が治らないときは本疾患のことがありますので、出来れば小児整形外科という専門のあるところで診察を受けましょう。
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