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鎖骨骨折

鎖骨骨折は日常診療でもっともよく遭遇する骨折の一つです。骨折部位によって大きく3つに分類されます。
  • 内側1/3
  • この部分で骨折することは比較的珍しいですが、部位の特徴上、レントゲンで把握しにくく、CTなどが必要になることがあります。通常は手術的に治療することはありませんが、交通事故などの強い外力によって鎖骨が胸郭内に突出するような場合には手術的に治療が必要になります。
  • 中央1/3
  • 鎖骨骨折
    この部分はもっとも頻度の高いものです。皮膚から比較的浅いところにあることから、診断は外見で分かることもよくあります。この部分の骨折は比較的癒合率が高く、骨がつかない(偽関節と言います)確率は1%以下であると考えられています。過去には、偽関節となったものの多くが手術治療後であったとし、本骨折は手術するよりもしない方が癒合率は良いという報告がありました。これを裏付ける理由として、骨を作る組織が骨髄内にはほとんどなく(内軟骨性骨化と言います)、鎖骨は膜性骨化と言って、骨膜によるものがほとんどであることが知られています。そのため、骨折時に起こった骨膜損傷が手術により更に悪化し、骨形成が悪くなると考えられています。こういった理由で、鎖骨の中央部の骨折はズレが多少あっても手術しないという意見もあります。手術しない場合の治療法は一般的には鎖骨バンドという、タスキ状のバンドで胸を反るようにしておく方法がとられます。このようにすると鎖骨のズレがある程度整復されることもあります。ズレが小さい場合や年齢が若い場合には3から6週程度で骨の形成が見られますが、30代以降やズレの大きい場合には数ヶ月間骨の形成が見られないこともあります。

    一方で骨折部のズレが大きい場合や、第3骨片と言って骨折部が2つ存在しているような場合には癒合率が低くなるとも言われており、このような場合には手術を勧める人もいます。また、スポーツ選手や若い人では早期に腕を動かすのを目的として手術に踏み切る場合もあります。しかし、鎖骨のすぐしたには腕に行く大きな血管や神経が通っています。手術時にこれらの神経血管を損傷してしまう可能性もあり、また、鎖骨は安定性が悪いため、金属で固定する手術をしても、金属疲労のため、固定材料が折れてそれが痛みを引き起こすこともありますので、手術の決定には十分にその利点と欠点を考慮した上で行うのがよいでしょう。受傷後に骨が皮膚を破っている(開放骨折)とか、骨折部位での圧迫によると思われる神経麻痺や循環障害がある場合には通常、手術が適応されます。

  • 外側1/3
  • この部分は解剖学的には烏口鎖骨靭帯という靭帯が付着している部分よりも外側での骨折を指します。この部分を越すと、鎖骨バンドの特性上、バンドで閉めても骨片が整復されるようには動かず、かえってズレを助長する方向に力が働きます。そのため、三角巾固定や腕を吊るような装具で固定します。ギプスを巻かれていた時期もありますが、ギプスで固定するには胸を含めて固定する必要があります。そうすると肩関節全体が固定されることになります。肩関節は固定により容易に拘縮を来しやすい部位でもあります。そのため、骨が癒合しても肩が動かないと言うために長期にリハビリが必要になることがあります。また、体幹を含めたギプスは非常に不快なものです。ですから、何か理由がない限りはギプスをしない事が多いです。

    烏口鎖骨靭帯の損傷があると鎖骨全体が上に上がったようになります(実際は肩甲骨が下がるのですが)。この場合、数ミリのズレがあると骨癒合しにくいとされ、中央部での骨折とは対照的に、この程度のズレがあると手術適応となります。この部分よりも外側での損傷となると通常は肩鎖関節脱臼となります。成長期にはあらゆる部分に成長軟骨があり、通常は思春期には成長線は閉鎖するのであうが、この部分の成長線は閉鎖時期が遅く、高校生でも残っていることがあります。そのため、成長軟骨損傷を来すとレントゲン上、肩甲骨側に残された骨片は軟骨のため、レントゲンに写らないので、一見肩鎖関節脱臼のように見えることがあります。これを偽性脱臼(pseudosubluxation)と呼びます。この場合、骨膜が残存しているために、多少のズレがあっても骨形成は非常によく、成人ほど厳密に手術適応とする必要はないとされます。

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