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骨折を治すと言うこと (2)


このように骨は完全にもとの組織で作り直すことができる数少ない組織です。しかし、その反面、曲がったら曲がったなりにくっついてしまうのです。先述のように子供なら問題ないこともありますが、成人では元に戻すほどのリサイクルは行われていません。
 ですから、骨がくっつくまで元あった形に整えておく必要があるのです。これが”整復”と言われるものです。整復の状態が悪ければ曲がってくっつきます。何百年も前には曲がってくっついていた人もたくさんいたのでしょう。その人達は機能障害を残して社会に適応できなくなっていたことでしょう。
脛骨骨折

 ここで、私が思うのは、我々医者は骨折を治しているのか、と言うことです。私は治しているとは思いません。治しているのは患者さん本人の治癒力です。我々は自然治癒力がもっとも発揮しやすいよう、また、治癒力の限界を超えるときに治癒力が働きやすい状態になるように介助しているだけです。これが医療の原則です。中には移植手術や人工物で代替するような手術もあり、これらに対しては外科的治療は不可欠なのもですが、それでも外科手術の治癒過程では本人の治癒力がなければ手術は成功しません
 たとえば、骨折したときによく見かける場面でギプス固定があります。これは骨折治癒において、治癒力が効率よく働くためには骨折部がぐらぐらしていないことが大切だからです。骨折手術もしかりです。このまま治癒力が働けば曲がってくっついてしまうような場面や、骨同士のずれが大きく、離れているためにくっつきそうにない場合などに、できるだけもとの位置に保持するのが治療の目的です。手術すれば骨がくっつくわけではありませんし、決して治癒が促進されるわけではありません。基本的には手を出さなければ治るのが遅い、あるいは治りにくいと言う場合に我々は手を出すのであり、本来治癒すべき期間で治すのが目的なのです。ただ、中には早期にベッド上の生活から離れるため、ギプスや松葉杖から解放されて社会生活に戻るため、などの目的で手術をすることもありますし、2008年4月からは一部の新鮮骨折に対して超音波治療器による骨折治癒促進術が保険認可されましたので、治癒促進法がないわけではないのですが・・・。

 よく、西洋医学は薬で治す、東洋医学は自然治癒力で治す、と言ったような表現が出てきますが、これはとんでもない誤解だと思います。どちらも自然治癒力抜きには何もできません。

上記のような理由から、骨折に対しては医者が手を出さなければ機能障害を残すような骨折もあれば、ほとんど放置の状態でも治るものまで様々です。骨折部位によっては治りにくかったり、手術しても後遺障害が残るところもあります。骨折治療の方針は個人の年齢や活動性、職業などによって変わってきます。まずは正しい診断のもとに社会的・個人的要因を考慮の上、治療方針を立てる事が重要です。


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