湿布の話 その2

冷湿布と温湿布の使い分け

さて、これら冷湿布と温湿布の使い分けですが、先のページに書いたように、もはや冷湿布は冷却効果はほとんど無いことがお解りだと思います。しかし、貼ったときに冷たく感じるのは確かです。これは基剤といって、粘着する部分の白い部分、あれが多少の熱を吸収するのです。しかし、それによる熱吸収は微々たるものです。外傷など、応急的に冷却を必要とするようなものに対する冷却効果は期待できません。ですから、冷湿布というのはもはや冷却するためのものではなく、鎮痛剤を皮膚から吸収させるためのものになっています。また、温湿布には唐辛子成分が含まれているので、多少の温熱効果はあるのですが、皮膚にしか作用しませんので、関節痛などの深部には到達しません。ですから、これも患部に対する温熱効果は期待できないのです。

現在ではこういう事情ですので、薬理的な観点から見ると、温湿布・冷湿布の違いは使い勝手の違いのみとなります。結論としては、現在の湿布は優れた鎮痛剤が含まれているので、温熱や冷却効果を期待するよりもすっと高い効果が期待できるのです。従って、どの痛みにはどちらがいい、と言うようなことは余りこだわらなくても良いのです。ただ、急性外傷には温湿布を使うと表面の血流が増加してしまうので、症状を悪化させることにつながるかも知れませんので、これはやめておいた方がよいでしょう。

従って、今まで言われてきたような痛みのフェーズに合わせて使用タイプを考えると、
・怪我の直後:冷湿布ではなく、氷などを使った本当の冷却(冷湿布では効果は期待できません)
・急性の痛み:冷湿布
・慢性の痛み:冷湿布または温湿布

となります。ちなみに、温湿布は皮膚に対する刺激が強いのと、痛覚刺激を伴う場合があること、また、刺激性が強くかぶれやすいという欠点がありますので、冷湿布の方が無難と言うことになるでしょうか。まあ、最終的には使い心地の良い方をお使い頂ければよいと思います。


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