シンスプリント

shinsplints


シンスプリントの痛みの部位
印付近に痛みを生じ、ほとんどの症例で同部に圧痛が見られる

脛骨下方の疲労骨折と鑑別が必要なものに、シンスプリントという病態があります。シンスプリントとは「疲労性骨膜炎」「ヒラメ筋症候群」とも呼ばれており、「シン(shin)」とは「むこうずね」のことです。 陸上選手など、足をよく使う種目に見られやすいものなのですが、「splint」の所を「sprint」と書いてしまい、「陸上競技による脛の痛み」と言う風にしてしまうことが多いようですが、これは間違いだそうです(私自身、長年の間この間違いに気付いておりませんでしたが、この点を指摘してくださった、びわこ成蹊スポーツ大学 競技スポーツ学科教授  大久保先生に深謝致します)。痛みを起こす部位は脛骨下方の疲労骨折と同じで、スネの内側後方、内くるぶしの上数センチから20センチくらいの範囲に痛みが生じます。初期にはレントゲンでは疲労骨折との鑑別はほぼ不可能です。疲労骨折と違い、骨そのものには異常を来しておらず、骨の表面にある骨膜という部分が主に足首を支える筋肉に引っ張られて炎症を起こすのではないかと言われています。

約半数は左右両側に痛みを生じることがあるとも言われています。原因は疲労骨折と同じく、筋疲労、ほかに筋力が弱いことやグランドコンディション、シューズのクッション不良、練習量の急激な変化、などがあげられます。骨格的要素が絡んでいることもあります。また、「ニーイン・トーアウト」と呼ばれる、つま先の向きよりも膝が内側に向かう状態によっても引き起こされやすいと言うことも言われています。いわゆる扁平足によっても生じやすくなります。症状は初期には練習時や練習後の痛みですが、重症化してくると徐々に日常生活にも痛みを感じるようになってきます。

図に示す部位が典型的な症状を来す部位ですが、もう少し前方にまで痛みが広がるときは疲労骨折が、もう少し後方に痛みが強い場合には、頻度は低いですが、慢性コンパートメント症候群というものが見られることもありますので、詳細な観察が必要です。

治療方法としては、疲労骨折との鑑別がまず重要ですので、発症後2,3週は経過を見る必要があります。また、同時に運動量の減少による局所炎症の鎮静が重要です。ほかには、足の指、足首、膝、アキレス腱などのストレッチも重要です。サポーターなどによる保護や関節の支持、温熱療法、超音波、レーザーなどの物理療法も有効です。また、上記に示したような環境的要因や姿勢の問題があるなら、それらの見直しをしないと、スポーツ再開後に再発する確率が高くなります。


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