関節リウマチ(1)

関節リウマチとは

我々医師が「リウマチ」という場合には、「関節リウマチ」という疾患のことをさします。よく世間で「リウマチ」という言葉を見かけますが、関節リウマチのことを正確に表していないことも多くありますので注意が必要です。

関節リウマチ(以下RA)とは免疫異常を背景とした滑膜炎に起因する関節炎が主体の全身性疾患で、全身症状としては貧血や発熱、全身倦怠感、体重減少、リンパ節腫大などを来します。以前までは「慢性関節リウマチ」と呼ばれていましたが、必ずしも慢性の経過ではなく、急性増悪もあるので、「慢性」という言葉が取り除かれました。

全身症状の中でも「朝のこわばり」はRAの活動性と相関することもあり、重要な所見です。原因ははっきりとは分かっていませんが、睡眠中の不動性によるものと考えられています。しかし、「朝のこわばり」だけであると、健常者、特に女性にも多く見られることもあるので、それ単独では診断意義は余りありません。RAにおいては「朝のこわばり」の持続時間が病勢の目安となることが多いです。

RAによる関節炎の経過は寛解、再燃を繰り返し、徐々に軟骨・骨破壊が進行し、関節変形に至り、拘縮・強直などの障害を残し、日常生活動作が制限されてしまいます。昔はこの関節変形を食い止めることは出来ず、関節炎を抑える治療が主体でしたが、近年は疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)が開発され、関節破壊を防止、抑制出来るようになってきました。さらには免疫学の進歩による生物学的製剤という種類の薬剤も開発され、難治性のRAに対しても治療が出来るようになってきました。また、RAの関節破壊は発症後2年間に強く進行する事も判ってきたため、早期に発見し、治療を開始する事の重要性が強調されてきています。このように、近年ではRAの治療形態が大きく変わり、高度の後遺障害を残さず寛解に導ける症例も多くなってきました。

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