関節リウマチ(2)

関節リウマチの診断

関節リウマチは滑膜炎による関節炎を来す全身性疾患です。典型的な症状がそろうと診断は容易ですが、初期には診断がつかないこともよくあります。また、一般には「関節が痛む」=「リウマチ」とか、「手指のこわばり」=「リウマチ」とか言う過敏反応とも取れる見識が流布しています。これらの症状は関節リウマチに見られる一つの症状ではありますが、関節リウマチ以外でも頻繁に見られる症状です。その一方で、関節リウマチには特異的な所見(これがあれば関節リウマチと断定出来る、と言うような所見)がないため、早い段階では診断が確定しないこともあります。現在では関節リウマチの診断は総合的な所見を組み合わせた分類診断に基づいています。余計な不安をかき立てないためにも、また、診断を遅らせないためにも、診断は正しい認識のもとで行われるべきです。実際の診察現場では、診断の確定には下に示す、アメリカリウマチ学会(ACR)による分類基準が用いられています。
ACRによる1987年改訂RA分類基準(Arnett FC, et al. Arthritis Rheum 1988 (31) 315-324)
朝のこわばり(少なくとも1時間以上持続)
少なくとも3関節領域(以上)の同時腫脹または同時関節液貯留
手関節、またはMCP関節、またはPIP関節領域の腫脹
対称性関節炎(PIPs, MCPs, またはMTPsの関節炎は全くの対称性でなくとも良い)
リウマトイド結節
血清リウマトイド因子高値
手指、手関節にびらん、または骨脱灰を伴う典型的X線所見
【判定】上記7項目中、少なくとも4項目あればRAと診断される
(1から4は少なくとも6週間持続しなければならない)
(2,5は医師の観察による)
(関節領域とは左右PIP, MCP, 手関節、肘関節、膝関節、足関節、MTP関節の14領域を指す )

しかし、この診断基準を満たすためには症状の継続が最低6週間は必要なことになり、また、早期RAでは4項目を満たさないことも多い。そのため、早期RA診断基準として、日本リウマチ学会は以下のような診断基準を提唱しています。
日本リウマチ学会による早期RAの診断基準(山本純己、ほか リウマチ 1994 (34) 1013-1018)
3関節以上の圧痛または他動運動時痛
2関節以上の腫脹
朝のこわばり
リウマトイド結節
赤沈20mm以上またはCRP陽性
リウマトイド因子陽性
以上6項目中、3項目を満たすもの
この診断基準に該当する患者は詳細に経過を観察し、病態に応じて適切な治療を開始する必要がある
この診断基準では、最後の注記に書かれているように、関節リウマチを断定するものではない点に注意が必要です。統計的な報告では、感受性は約85%、特異度約80%、2年後の的中率約75%とされています。 このように、早期診断は容易ではないものの、診断が確定したら、速やか(3ヵ月以内が推奨)にDMARDsステロイド剤、消炎鎮痛剤などを組み合わせた治療を開始する、とされています。このように、関節リウマチは今や早期発見・早期治療によって予後が大きく変わる疾患となりました。

リウマトイド因子について

リウマトイド因子(RF)とは、変異したヒトIgGに対して出来た自己抗体であり、関節リウマチの滑膜炎を来す一因と考えられていますが、まだ不明な部分も多いのが現状です。上記のように診断基準の一つにも挙げられていますが、関節リウマチ患者の約20%は陰性です。高齢者や男性では陰性率が高いとも言われています。ですから、リウマチ因子が陰性であったからと言って関節リウマチが否定出来るわけではありません。また、健常者での陽性率は1%以下とされますが、高齢者では陽性率が高くなります。また、リウマチ因子が陽性になる疾患は他にもあり、肝炎があると陽性率が30%程度にあるともされます。従って、リウマチ因子陽性のみでは診断には至りません。

近年、抗ガラクトース抗体欠損IgG抗体(CARF)という検査法があり、RF陰性患者でも約50%の陽性率とされます。しかし、非RAでも20%程度に陽性があるとされています。また、抗CCP抗体は早期関節リウマチの診断に有効との報告が多数ありますが、現時点(2006年)ではまだ保険適応がありません。



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