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膝半月損傷(meniscus injury)

膝のクッションの破綻

半月前方半月上方
膝関節を前から見たところ
矢印部分が半月
大腿骨を取り除いて
半月を上から見たところ
矢印部分が半月
  
MRI画像
正常半月変性半月
正常半月
内部が均一に黒い
変性した半月
一部白くなった部分がある
断裂半月バケツ柄
半月損傷
断裂部が白い線状の
信号として描出される
半月損傷
(バケツ柄断裂)
断裂部が転位している

膝関節は、3つの骨から成り立っています。大腿骨と脛骨、膝蓋骨です。この大腿骨の関節面は半球状をしていますが、その受け皿である脛骨側は平坦な形をしています。ちょうど平らな平面上をボールが転がるような動きによって膝関節は動いているのです。しかし、平面対球面では安定性に問題が出ます。それを解決しているのが半月(半月板)という軟骨の板です。半月というわりには三日月型をしているのですが、ちょうど球面の非接触面を覆うように存在しています(右図)。そのため、断面で見るとくさび形をしています(MRI画像参照)。この半月は大腿骨を安定させるだけでなく、荷重分散という役割も担っています。ですから、半月がなくなると、関節軟骨にかかる負担が大きくなり、早期に変形性関節症などになってしまいます。

断裂は多くの場合、捻挫や靭帯損傷と言った外傷に伴って起こることもありますが、はっきりとした契機がない場合もあります。靭帯損傷では側副靭帯損傷や十字靭帯損傷によく合併します。原因がはっきりしない場合には、主に変性という状態が一因となっていることがあります。変性というのは一種の加齢変化であり、軟骨は年齢とともにその弾力性と強度が落ちていきます。そうすると、大きな外傷がなくても、日常生活レベルの体重負荷でも断裂が生じてしまうことがあります。スポーツなどで膝を酷使する状態でも生じることがあります。また、円盤状半月(discoid meniscus)と言って、先天的に大きな半月を持っている人がいます。ほとんどは外側であり、両側性です。円盤状半月は先天的に強度が弱いため、加齢による変性がなくても容易に断裂します。思春期頃に症状を来すことが多いですので、この年齢での膝痛の鑑別疾患の一つとなります。

症状の多くは膝の痛みですが、歩行時の膝崩れ(膝がガクッとなる)や、引っかかり感を来すこともあります。引っかかり感のみがある状態をキャッチングと言い、引っかかりが強くなり、一時的に曲げ伸ばしができなくなるような状態をロッキングと言い、バケツ柄断裂という、重度の断裂形態で生じることが多いです。これらの症状は、引っかかりが取れてしまえば、痛みが嘘のようになくなるのが特徴ですが、同じロッキングやキャッチングを来す疾患として、膝蓋骨亜脱臼、関節ネズミ、関節内腫瘍などもありますので、MRIなどによる詳細な検査が必要です。ロッキングを起こした場合には歩けなくなるほどの痛みを来すことがあり、応急的には半月の引っかかりをはずします。関節内の局所麻酔や下半身麻酔を要することがありますが、整復できないこともあります。

半月損傷の治療としては、損傷部の切除が一般的ですが、最近では縫合術が行われることもあります。断裂部位が半月の付着部付近で生じていたり、10歳代の場合では治癒を期待して数週間のギプス固定を行うこともあります。しかし、半月は血流のない部分があるので、血流のない部分の損傷では固定や縫合を行ってもくっつかない事が多いので、このような部分では切除の方がよいと言う意見もあります。手術はほとんどの場合、関節鏡という一種の内視鏡下に行われます。切除後の長期合併症としては、特に切除範囲が広いと、変形性関節症になる確率が高くなることが知られています。しかし、損傷半月を放置しても軟骨損傷を引き起こすことがあるので、半月損傷がひどいときには切除した方が良いと考えられていますが、軽度損傷であれば、損傷半月であっても、ないよりはあった方がましなこともありますので、充分な検討が必要です。


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