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スポーツによる膝障害

膝痛の場所
右膝を前から見たところ
1.オスグッド病  2.膝蓋腱炎
3.膝蓋骨周囲炎  4.分裂膝蓋骨
5.タナ障害  6.半月損傷、変形性関節症
7.外側半月損傷、円盤状半月  8.駕足炎



オスグッド病
膝蓋靭帯炎
膝蓋骨周囲炎
分裂膝蓋骨
離断性骨軟骨炎
半月損傷(円盤状半月含む)
前十字靭帯損傷
後十字靭帯損傷
駕足炎
タナ障害


オスグッド病(Osgood-Schlatter病) オスグッド病
お皿(膝蓋骨)の下の腱(膝蓋腱)に引っ張られて、この腱の付着部である脛骨結節の成長軟骨が傷害され(骨化障害)、痛みを起こす。脛骨結節部(脛骨結節は膝の前面、お皿よりも数センチ下にある骨の出っ張り)を押さえると痛みがある。外見上は同部が出っ張るので、よく「軟骨が出る」といわれているものである。レントゲン上、骨の分節化や遊離が見られる(右図)。成長終了後には炎症は治まり、症状も消失することが多いが、一部に膝をついたときの痛みや同部の圧痛として症状が遺残することがある。スポーツ活動は痛みがなければ行ってもよいが、症状の強いときには休むか、専用のサポーターを使用する。大腿四頭筋が硬いことがよくあるので、この部分のストレッチを重点的に行う必要がある。

膝蓋靭帯炎
お皿(膝蓋骨)の下の腱(膝蓋靭帯、膝蓋腱)に微細損傷が起こり、炎症を起こした状態。ジャンパー膝とも言われ、ジャンプ動作を多用する種目(バレーボール、バスケットボール)に多い。腱を押さえると痛みがあり、軽度の腫れを伴うこともある。スポーツ活動は痛みがない範囲で行ってもよい。大腿四頭筋のストレッチが重要。 膝蓋骨SLJ

膝蓋骨周囲炎・大腿四頭筋腱炎
お皿(膝蓋骨)の周囲に付着する膝蓋腱や大腿四頭筋と膝蓋骨の境目(付着部)に微細損傷が起こり、炎症が起こっている状態。腱と膝蓋骨の境界部分に圧痛がある。治療などは膝蓋靭帯炎と同様。膝蓋骨の上の方に出来る場合を特に大腿四頭筋腱炎という。また、小児で膝蓋骨下方に軟骨損傷が生じ、オスグッドと同様に骨の分節化を生じたものをSinding-Larsen-Johansson病という(右図)。

分裂膝蓋骨
膝蓋骨の骨化核癒合障害。膝蓋骨は幼児期にはすべてが軟膏であるので、レントゲンには写らない。骨化が始まるとレントゲンで写り出すが、これは大体4から5歳頃。その後、骨化部が大きくなり、成人の状態になるが、途中、大腿四頭筋の牽引力で軟骨の骨化障害が起こると、一部分のみが癒合しきらずに分裂した状態で残る。通常は外側上方に存在。無症状のことがあり、打撲などで偶然発見されることや、ある動作で急激に痛みが生じることもある。このような場合には骨折と間違われることもあるので注意が必要。無症状であれば治療する必要はないが、症状が強いと手術的に骨片を癒合させたり、摘出したりする。腱を一部切離するだけの方法もある。他の膝蓋骨周辺の障害と同様、大腿四頭筋のストレッチが重要。

タナ障害
関節の裏打ちをしている「滑膜」という組織が部分的に肥厚していることがあり、これは滑膜ヒダとか、タナとか呼ばれている。それが大きいと、関節の間に挟まって痛みを引き起こすとされる。頻度の高いものは膝蓋骨の内側にある「膝蓋内側ヒダ」である。関節鏡下に切除することがある。

上記の膝蓋骨周囲の障害は症状や治療も似ていますが、圧痛部位を詳細に調べると鑑別ができる事が多いです。

離断性骨軟骨炎
軟骨の下層にある軟骨下骨のがいたみ、軟骨がはがれてしまう病態(肘の離断性骨軟骨炎(外側型野球肘)を参照ください)。半月板の異常(円盤状半月など)を伴っていることがある。膝の場合は肘と違って、比較的治療によく反応することが多い。中学生以降になると手術的に治療することが多くなる。成長終了までに適切に治療すれば後遺障害を残すことは少ないが、成長終了後や終了間近の場合には関節面の修復がうまくいかないことがあり、障害が残ることがある。遊離体を生じると手術的に摘出する必要がある。
正常半月変性半月
正常半月
内部が均一に黒い
変性した半月
一部白くなった部分がある
断裂半月バケツ柄
半月損傷
断裂部が白い線状の
信号として描出される
半月損傷
(バケツ柄断裂)
断裂部が転位している

半月損傷
外傷で起こることもあるが、はっきりとした契機がない場合もある。側副靭帯損傷や十字靭帯損傷に合併したり、捻挫で生じることもある。30歳以降になると変性と言って、強度が弱くなり出し、自然に損傷することがある。歩行時の膝崩れ(膝がガクッとなる)や、損傷が大きいと引っかかり感(キャッチング)が生じたり、損傷した半月が引っかかってしまい、膝が伸びなくなる、曲げられなくなる、と言った症状(ロッキング)を来すことがある。ロッキングを起こした場合には歩けなくなるほどの痛みを来すことがあり、応急的には半月の引っかかりをはずします。関節内の局所麻酔や下半身麻酔を要することがある。半月損傷の治療としては、損傷部の切除が一般的であるが、最近では縫合術が行われることもある。断裂部位が半月の付着部付近で生じていたり、10歳代の場合では治癒を期待して数週間のギプス固定を行うこともある。しかし、半月は血流のない部分があるので、血流のない部分の損傷では固定や縫合を行ってもくっつかない事が多いので、切除の方がよいとされている。手術はほとんどの場合、内視鏡下に行われる。切除後の長期合併症としては、特に切除範囲が広いと、変形性関節症になる確率が高くなることが知られている。しかし、損傷半月を放置しても軟骨損傷を引き起こすことがあるので、半月損傷がひどいときには切除した方が良いことがある。 十字靭帯損傷などのケガがない場合の外側半月損傷は、特に小児では円盤状半月であることが多い。円盤状半月とは、先天的に半月が大きいもので、軽度の外傷で損傷したり、はっきりとした外傷がないのに損傷することもある。ほとんどは両側性。膝の痛みや伸展障害を訴える事が多い。円盤状半月で症状があれば手術的に半月を切除する。離断性骨軟骨炎を合併することも多い(参照「半月損傷」)。

前十字靭帯損傷
ほとんどが外傷で起こる。半月損傷を合併することも多い。男性では接触による受傷が多いが、女性では非接触性(ひねった、着地失敗など)が多い。非接触性では女性のバスケットボールが多いとされる。この原因として、ピボット動作時などに膝の向きと足の向きが違っている(ニーイン・トーアウト、ニーアウト・トーイン)ような動作が多いとされ、下腿と大腿骨のひねり動作によって生じやすいとされる(記憶に新しいところでは、サッカーの2006年ワールドカップ・グループリーグ戦でイングランドのオーウェン選手が対スウェーデン戦で受傷したシーンが印象的である)。予防にはこれらの基本動作を身につけることが重要とされる。症状としては、急性期には損傷や関節内血腫による痛みが主体であるが、数日で痛みはかなり改善し、その後、不安定性が問題となる。不安定性は歩行時や階段昇降時に膝の不安定感や膝崩れ(giving way)として自覚される。スポーツ動作では急な方向転換(カッティング)や軸足動作(ピボット)などでの膝くずれとして現れることが多い。通常、十字靭帯不全のみで痛みを来すことは少ない。痛みを伴う場合には半月損傷や軟骨損傷などの合併損傷を考慮するか、他に原因を検索する必要がある。前方への不安定性を再現するテストは前方引き出しテストやラックマンテスト(Lachman test)で調べる。また、正常膝では伸展時にスクリューホームムーブメント(screwhome movement)といって、下腿の回旋運動を生じるが、前十字靭帯損傷が生じると、この動きのヒンジ点がなくなるために亜脱臼を生じることがある。この亜脱臼を再現するテストがN-testとかpivot-shift test、jerk testと呼ばれるものである。非常に鋭敏な検査で、麻酔下でないと再現できないことがある。この不安定性がピボット動作などで膝くずれを生じる原因である。半月損傷を合併することが高頻度にあり、その場合、痛みが遷延したり、ロッキングを来すことがある。半月損傷を合併していると靭帯再建と同時に半月縫合または切除術が施行されることも多い。また、骨挫傷と言って、MRIで骨内に出血病変が見いだされることがあり、この場合も痛みが遷延することがある。断裂した靭帯は固定をしても治癒することはないとされ、手術治療が必要。放置すると膝の不安定感が出て競技能力に影響が出たり、半月損傷の誘因となったりする。手術は靭帯の縫合ではなく、腱移植による再建術となる。腱はハムストリングや膝蓋腱が用いられることが多い。
前十字靭帯損傷の治療についてはこちら

後十字靭帯損傷
ほとんどが外傷で起こる。前十字靭帯同様、自然治癒することは少ないが、前十字靭帯よりも不安定性を来すことは少なく、装具や筋力訓練(四頭筋訓練)で症状がなくなることも多い。後方引き出しテストやlag signが診断に有用。単独損傷であれば手術無しでも症状を来さないことも多いが、半月損傷を伴っていると不安定性が出たり半月損傷の進行が見られることがあるため、手術対象となることが多い。手術は前十字靭帯と同様、靭帯再建術となる。

駕足炎
変形性関節症に合併することが多いが、スポーツでもなることがある。痛みのある高さは膝関節面の高さよりもやや低く、ちょうど脛骨粗面の内側くらいの高さである。腫れることもある。また、この辺は疲労骨折の好発部位でもあるので鑑別を要す。

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