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成長期におけるスポーツ障害

年齢とトレーニング

成長期における体力向上には適齢期というものがあります。大まかに分けると、小学生期、中学生期、高校生期、となります。

小学生期には神経の発達がもっとも盛んであると言われています。運動適齢期 スポーツにおいてはいわゆるスポーツ全般に共通する、基礎的な身体能力です。転んだときの身のこなしかたやバランス感覚などがこれにあたります。従って、この点から考えると、この時期には特定のスポーツをさせるよりも色々なスポーツをさせることが望ましいのです。子供も将来的に好みがどう変わるかも分かりませんし。ただ、タイガーウッズや宮里選手などを見ていると、英才教育も天才プロ育成には重要なのかも知れません。ここは判断に困るところですが、特定のスポーツをさせたいのならば、せめてオフシーズンに色々なスポーツを体験させるのがよいのでしょう。ただ、野球やサッカーなど、身体に結構負担のかかるスポーツは小学生期には故障のもとです。将来活躍させたいために一所懸命に練習させても故障のためにそのスポーツを断念、なんて事になれば最悪です。

中学生期には呼吸・循環器能力の発達がすぐれていると言われています。したがって、この時期には持久力を主眼においてトレーニングが最適です。高校生期になると筋肉の発達が有利になります。したがって、この時期は筋トレを含む、パワーをつけるトレーニングが有効です。

では、これらの時期を無視して、例えば中学生期に一所懸命に筋トレしたらどうなるのか。もちろん全く無駄ではありませんが、効率が悪くなります。同じトレーニングをやっても、高校生期にする方が効果が出やすいのです。そのため、同じ効果を出すためにはどうしても負荷が大きくなりがちです。これが障害を作り出すもとでもあります。また、小中学生期には、骨格にも力学的負荷に弱い軟骨が多く含まれています。負荷が大きすぎると、軟骨を傷めて成長に障害が出たり、関節の障害を残すことにつながることがあります。代表は外側型野球肘です。他のトレーニングが無効というわけではありませんが、無理は禁物、ということです。

また、成長期には骨の伸びるスピードが速いです。しかし、筋肉はそう簡単に伸びてくれません。そのため、相対的に筋肉が硬くなりやすくなる時期でもあります。筋肉が硬くなる(タイトネスがある)といわゆる、体が硬い状態になります。体が硬いとケガしやすいと言うことは大人の場合も同様で、よく認識されていることです。これは筋肉の柔軟性が少ないと、筋肉や関節に負担がかかりやすくなるために結果として障害が起こりやすくなるのです。成人では筋肉が骨にくっつく部分の障害である付着部炎という形態を取ることが多いのですが、子供の場合はこの付着部が軟骨のことがよくありますので、子供では軟骨障害とか骨化障害という形で障害が出てきます(タイトネスの項目参照)。代表的なものは上腕骨小頭の離断性骨軟骨炎(外側型野球肘)オスグッド病などがあります。付着部炎の多くは元の状態に戻すことが出来ます(可逆性変化)が、軟骨障害は永続する(不可逆性変化)ことがあります。そのため、成長期には特にストレッチを重点的に行い、個人個人の柔軟性をチェックすることが重要なのです。

このように、成長期に見られる痛みは単に成長痛として片づける事には大きな危険が潜んでいます。一方で、スポーツ障害の治療は長期にわたってスポーツを制限する必要が出ることがあります。スポーツ活動の制限は本人にはもちろんのこと、チームや両親にも精神的なストレスが大きくかかってくる場合があります。特に高校生などでは学年によっては最後の大会であるとか言う事情が出てくる場合があります。実際にはスポーツを禁止していても現場ぐるみでこっそりと練習している、なんて事も見受けられますが、これは厳禁です。病態によっては永続的な病変が出来たり、一生涯にわたって後遺障害に苦しめられたり、将来的な就業が制限されたりすることもあります。従って、必要な安静は必ず守るべきですし、必要以上の安静は守る必要はないと思いますし、それが何よりも本人のためです。何のためにスポーツをしているのかをもう一度考えましょう。スポーツ許可の範囲は障害の程度と種類や、本人のおかれているチームの状況(シーズンや学年など)によって違いますので、一概には言えませんが、無理をしても長期的に影響しないものであったり、可逆的なものならば続行は支障ないでしょうし、そうでないものであればそうは言ってられません。この辺の判断が専門医の役割であると考えています。スポーツ障害の治療には本人の意思も必要ですが、それと同じくらい重要なのがチームメイト、監督、コーチ、トレーナー、両親、など、周囲の人々の理解と協力です。みんなが障害について理解し、協力し合うことがスポーツ障害の治療の第一歩であり。早期復帰への近道でもあります。選手を生かすも殺すも、周囲の人々にも責任があります。また、こういった事柄への十分な理解がスポーツ障害の早期発見、早期治療だけでなく、予防、そして健康的にスポーツを楽しむことにつながっていくのであると考えています。

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